ワラビーズの出張コンサート用のスピーカーを買いました。
FOSTEX PM0.3
ニアフィールドパワードスピーカーです。
主にDTMとかをする人が、机の上に置いて近くで聞くためのスピーカーです。
コンサートで使うのは、間違った使い方です。
楽器店いくつかを回って、実際に試奏させてもらってチョイスしました。
店員さんには、これはコンサートで使うという用途のスピーカーではないと何度も言われました。
そしてものすごい面倒くさい顔をされ、心の中で、「頼むから帰ってくれ」と言っているのがよ~く聞こえました。
店員さんが言っていることは全部正しいです。
ニアフィールドモニターは指向性を絞っているので、拡散させてフロアの沢山の人に聞かせるためのスピーカーとは丸で狙いが違います。
明らかに間違いで、やっちゃいけないことの代表例で取り上げられるような使い方です。
しかし我々ワラビーズにとっては、様々な条件をクリアしたこいつがベストだったんです。
僕はレコーディングエンジニアです。
レコーディングの歴史を遡ると、エンジニアは泣いてばっかりです。
アーティストは技術的に可能なのか不可能なのかを、なんにも考慮すること無く「こういう音にしてくれ」と無理難題を押し付けてきます。
技術的に考えれば、物理的にできるわけ無いじゃんというようなことを平気で言ってきます。
その要望になんとか答えようと半田ゴテを握って、レコーディング技術は進歩してきたんです。
ジョンレノンとか、ジミヘンとか、本当にエンジニア泣かせなアーティストです。
フランクシナトラがマイクを手に握った時、エンジニアはぶったまげたんじゃないでしょうか。
マイクというものは振動に弱く、サスペンダーで吊るしてなるべく振動がダイアフラムに届かないよう細心の注意を払って立てられていました。
手に持つなんて考えられない暴挙です。
けどシナトラはそれを手に持ったんです。
エンジニアは頑張って、手に持てるマイクを開発しました。
それが今やマイクは手に持つのが当たり前になってます。
ギターのエフェクターのファズは、電気回路的には本来やっちゃいけないことをやって回路が組まれています。
音楽は表現です。
アーティストが頭のなかに描いたサウンドを、なんとか形にするために技術(エンジニアリング)が存在します。
道具にはそれぞれ正しい使い方はありますが、その使い方を守ることは音楽にとっては別に大事なことじゃないです。
一番優先されるべきことは、アーティストの表現です。
だからアーティストは、わがままを言っていいんです。
「もっとこうしたい」
「こうはならんのか」
言ってくれないと進歩が止まります。
エンジニアはエンジニアで独自に進化もしていますが、それはある意味真っ当な進化の仕方です。
エンジニアは、どこまではできて、どこから先はできないかを知っているんです。
アーティスト側からのトンチンカンな要望が無くなったら、音楽業界全体がつまらなくなっていくと思います。
だから、今回ワラビーズは店員さんを散々面倒臭がらせたけど、それはいい事だったんだ!
わーい!
一日一善完了!
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